第15回研究大会
新型コロナ感染症拡大の影響で対面での開催を見合わせておりましたが、2023(令和5)年2月25日(土)、白百合女子大学を会場として4年ぶりに対面で開催いたしました。
今日、社会的養育の基本的方針として家庭養育優先原則が強調される一方で、施設には小規模化、地域分散化、短期ケア及び在宅福祉推進への取り組み、親子関係の再統合・再構築の推進など、施設の機能強化を確実に図ることが強く求められています。そこで第15回研究大会は、「児童養護施設における専門機能強化推進への課題」というテーマのもと、本学会の強みである実践に基点をおいた協議が進められ、22歳以降の自立支援の課題や、地域に密着した在宅支援についての課題について考える場となりました。
基調講演では、福祉新聞記者鮫島隆紘氏から「新聞記者からみた新たな社会的養護の将来像」と題した講演がなされ、昨今の子ども家庭福祉を巡る様々な議論の動向について詳細に解説していただき、児童養護施設を取り巻く諸状況についての理解を深める貴重な機会となりました。
研究大会には127名の参加があり、28組の発表がありました。各分科会では発表者と参加者相互の間で熱心な質疑が行われ、他施設の取り組みを自施設に活かして、子どもの最善の利益を高める実践に繋げようとする熱意が感じられました。
研究大会翌日の2月26日(日)には、児童養護施設見学の機会を設けました。社会福祉法人六踏園調布学園様の協力により開催し、11名の参加がありました。地域支援活動への取り組みを中心とした説明をいただき、実践の学びの場となりました。
大会開催に際しましては、厚生労働省様をはじめ、公益財団法人原田積善会様、公益財団法人資生堂こども財団様、社会福祉法人朝日新聞厚生文化事業団様、社会福祉法人全国社会福祉協議会全国児童養護施設協議会様、社会福祉法人テレビ朝日福祉文化事業団様、社会福祉法人東京都共同募金会様、社会福祉法人東京都社会福祉協議会様、福祉新聞社様よりご支援をいただきました。厚くお礼申し上げます。
第15回研究大会長
白百合女子大学教授 坂本 健
講演
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「新聞記者からみた新たな社会的養護の将来像」
講師 鮫島 隆紘 氏(福祉新聞社 記者)
分科会研究発表
- 〜第一分科会〜
- テーマ:「社会的養護実践における家庭支援」
「大阪における里親推進における現状と課題(実践報告)」
阪野 学(四條畷学園短期大学 教授)
「A さんの家族とのかかわりにおける自己決定支援 −ミクロレベルの支援からメゾレベルの支援展開−」
林 知然(東京家庭学校 本園学童寮主任/家庭支援専門相談員)
「母子生活支援施設における自立支援担当職員による家庭支援」
内藤 珠美(リフレここのえ 母子支援員)
「家族再統合に関する中間報告 −ケアワーカーによる家庭復帰支援−」
コ原 彩、吉原 綾乃、二宮 由佳、玉村 京香、大沢 汐里、岡村 智也、
曽根 来弥(東京育成園 居室担当ケアワーカー)、橋 直之(東京育成園 副園長)
「つなげよう!地域の力!−ちょこっとつどう憩いの『わ』−」
大川内 綾(社会福祉法人六踏園 調布学園地域支援コーディネーター)
「児童養護施設における地域貢献事業 -児童養護の専門性を活かした地域貢献事業の実践-」
島田 美喜(社会福祉法人至誠学舎立川 児童事業本部至誠こどもセンター 所長)
- 〜第二分科会〜
- テーマ:「社会的養護実践における生活支援」
「児童養護施設の実家機能について」
藪 一裕(京都文教大学 講師)、原田旬哉(園田学園女子大学 教授)
「東京育成園におけるライフストーリーワーク実践の分析」
角之上 遥、神戸 萌佑、山本 すみれ、川西 二千華、
漆原 結子(東京育成園居室担当ケアワーカー)、岩田 祐一郎(里親トレーナー)
「エビデンスに基づいた養育の試み−児童養護施設版「生活安全感・安心感尺度」の活用を通じた養育実践−」
松村 香(新日本学園/湘南鎌倉医療大学准教授)、
宮浦 健太、小野 翔馬、宇津木 孝正(新日本学園 心理職)
「児童養護施設におけるリ−ビングケアの考察 −高校生の支援に注目して−」
中川 桜子(東京育成園 心理療法担当職員)、宮原 禎久、佐藤 千草、上原 亜貴雄、
宇佐美 裕子、国行 桃歌(居室担当ケアワーカー)、福地 麻美(事務)
「児童間性暴力の予防・早期発見・効果的介入のための包括的アプローチ」
遠藤 洋二(関西福祉科学大学 教授)
「児童養護施設における感覚統合支援」
津野田 咲子、伊関 雛美、田丸 理子、梅井 陽子、
市川 理紗、丸山 楓佳(東京育成園居室担当ケアワーカー)、
川嶋 愛(里親リクルーター)、礒貝 静香(調理員)
- 〜第三分科会〜
- テーマ:「社会的養護実践における心理治療」
「効果的な学習支援方法とその活用 −子どものより主体的な学びを支援するために−」
岡部 拡視、相楽 弦太、浦上 明日美、三島 夏菜子、青木 美紗、
岡ア ひばり(東京育成園居室担当ケアワーカー)、境 真穂(心理指導担当)
「エンジェルサポ−トセンター20 年の自立支援活動から見えたもの」
高橋 利之(特定非営利活動法人エンジェルサポートセンター理事長)
「児童養護施設における自立を見据えた食育支援」
木内 実香、吹田 匡透、金井 聖香、湯田 香菜、鈴木 遥(東京育成園 居室担当ケアワーカー)、
相川 知美(東京育成園 アフターケア担当職員)
「SST(ソーシャルスキルトレーニング)−ケアワーカーによる日常生活支援におけるSST−」
長谷坂 力也、古川 朱里、野口 汐梨、韓 松怡、藤川 寧々、佐久間 柚衣、
勝木 麗(東京育成園 居室担当ケアワーカー)、菊池 章子(東京育成園 事務)
「生活場面での心理職の関わり−多角的に児童を理解するために−」
樋口 真弓(社会福祉法人六踏園 品川景徳学園治療指導担当)
「施設内虐待を防ぐための園内合同委員会の取り組み−子どもの権利擁護、性教育の観点から−」
山口 龍太(至誠学園 心理職)、深谷 孝史(至誠学園 ケアワーカー)
- 〜第四分科会〜
- テーマ:「社会的養護実践における施設運営」
「当園におけるヒヤリハットの分析と対策」
野口 智、京増 舞子、山本 麗奈、須永 百花、栗原 健一、
網野 雅俊(東京育成園 居室担当ケアワーカー)、三村 貴紀(東京育成園 主任)
「聴覚障害を持ち自立する出身者に対する施設・社会の支援」
林 美香(社会福祉法人至誠学舎立川至誠学園 友の会)
「[働きやすい職場づくり]への取り組み − メンタルケアとストレスケアの満足度向上を目指して−」
伊能 穂乃香、猪野 千紘、黒澤 日萌香(東京育成園 居室担当ケアワーカー)、
望月 亮(東京育成園 統括主任)、東 拓史(東京育成園 家庭支援専門相談員)
「学生が考える児童養護施設について − 学園研究を巡って−」
手塚 芳晴(鶴見大学非常勤講師)、
小見 洸人、由井 二葉、渡邉 彩乃、大谷 美来、高橋 李音(鶴見大学文学部3 年)
「地域における児童養護施設の役割 −東京育成園が地域に担う役割−」
吉木 香純(東京育成園 里親トレーナー)、朝倉 綾香(里親支援専門相談員)、
鈴木 美里(栄養士)、沖野 広香(里親リクルーター)、
川嶋 慎也、田中 恵美香(居室担当ケアワーカー)、荒岡 華奈(事務)
「施設卒園生のスピークアウトの意義と役割」
三ツ橋 宏介(一般社団法人リーチ奨学育英会)
- 〜第五分科会〜
- テーマ:「コロナ禍における社会的養護実践」「コロナ禍における施設実習と人材養成」
「コロナ禍における施設実習について −実習生を送り出す側として私たちはまだ気を緩めていない−」
小田桐 忍(聖徳大学教授)
「コロナ禍における施設実習と人材養成 −実習生を受入れる側として−」
里見 吉佑(社会福祉法人 佑啓会常務理事)
「社会的施設出身者のための農福連携による自立支援プロジェクト」
渡辺 治(一般社団法人リーチ奨学育英会会員・農福学連携プロジェクト推進代表)
高橋 利一(一般社団法人リーチ奨学育英会 理事長)、渡邉 さとし(研修生)
「児童養護施設の児童と職員へのコミュニケーショントレーニングの実践報告」
村上 好(特定非営利活動法人JAM ネットワーク)
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